生産緑地は解除すべきか

生産緑地は解除すべきか

生産緑地の2022年問題が注目され始めています。

生産緑地に指定されている土地を持っている人が、今後どういった選択肢があるのか説明したいと思います。

生産緑地の概要

生産緑地について、基本的な概要は以下のとおりです

生産緑地とは
農業、林業を継続することを条件に固定資産税・都市計画税の軽減及び相続税の納税猶予制度等の税務上の軽減が受けられる、都市計画法により指定された市街化区域内の農地
生産緑地の指定を解除できる条件
生産緑地の告示の日から30年を経過した場合
農業の主たる従事者が死亡した場合
農業に従事することを不可能とさせる故障を有する場合

現在、生産緑地に指定されている土地の約8割が、1992年(平成4年)11月30日に指定を受けており、その30年後の2022年(平成34年)11月30日に生産緑地の指定が解除されることになります。

平成27年の国土交通省の調査では、生産緑地の面積は全国で13,442haあると報告されているので、その約8割が生産緑地の指定を解除され、市場に出回ることで土地の過剰供給による混乱が起こるのではないかと懸念されています。これが「2022年問題」です。

生産緑地が指定されている土地の選択肢

生産緑地は30年の期間が終了する前に、いくつかの選択肢から今後どうするか選ぶ必要があります。

下に代表的な選択肢とそのメリット/デメリットを示します。

① 特定生産緑地の指定を受ける
指定を受けることで、現在の生産緑地の指定による税務上の軽減を続けて受けることができます。
指定を受けると10年間継続でき、さらに10年ごとに更新ができます。

申請すれば、特別な事情が無い限り指定を受けられると考えられます。各市町村への申請は2019年から開始されるところもあります。

・今までの生産緑地の利用方法を継続できる
・継続利用なので、他の選択肢と比べてリスクは小さい

・基本的に10年間は農地以外の利用ができない

② 生産緑地の買取希望申出
申請することで、市町村が時価で土地を買い取ってくれます。

・市町村が時価で買い取るため、金額面で安全性が高い
・相続税が減税される

・市町村の予算の関係上、買い取りが行われない場合がある
(すぐに買い取ってくれない可能性が高い)

③ 売却
生産緑地の指定を解除して、不動産業者などに土地を買い取ってもらう

・利便性が高い土地は、業者が高値で買い取ってくれる

・適正な価格の判断が難しく、業者に買い叩かれる危険性もある

④ 指定を解除してアパートなどを経営する
生産緑地の指定を解除した後、その土地にアパートを建築し、賃料収入を得る

・農地として利用するよりも収入は増える(可能性がある)

・近年、アパート運営会社と土地所有者とのトラブルが増加している

判断する材料

上に書いた選択肢は、どれもメリットとデメリットがあります。
その中で、生産緑地をどうするか判断する必要があるため、判断材料となる点をお伝えしたいと思います。

農地が貸しやすくなる
2018年6月に「都市農地の貸借の円滑化に関する法律案」が国会を通過しました。この法律は、都市部の農園を他の人に貸しやすくするための法律です。

今までは生産緑地の指定を受けると、基本的には自分で農業を行う必要がありましたが、今後は「生産緑地を人に貸す」という選択もできるようになり、生産緑地の継続がしやすくなります。

この法律は「2022年問題」が背景となっていて、国は生産緑地が一斉に解除されないように動いています。つまり、今後も生産緑地を継続しやすくする施策をとる可能性が高いと考えられます。

相続税の猶予をうけているか
生産緑地の指定を受けると相続税の猶予が受けられます。しかし、指定が解除されると、猶予されていた相続税を払う必要があります。さらに、相続税に加えて払わなかった期間の利子税も合わせて支払う必要があります。この利子税の税率は毎年異なりますが、平成26年以降は約1.5%、平成25年以前は4.0%近い値であり、非常に大きな金額になります。

つまり、相続税の猶予をすでに受けている人は、生産緑地を解除すると非常に大きな税金を払うことになるため、特定生産緑地の指定を受けるメリットが大きいと言えます。

生産緑地は解除すべきか

生産緑地の継続がしやすい環境を国は整備し始めています。
そのため、特定生産緑地の指定を受けることが、最もリスクが小さく受け入れやすい選択であると思います。

実際、国土交通省が東京都内の農家を対象にしたアンケートでは、約60%の人が生産緑地をそのまま特定生産緑地として指定を受けたいと考えています。

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ただし、相続税の猶予を一度受けると、利子税を追加で払う必要が出てくるため、生産緑地の指定を半永久的に受け続けなければいけなくなる可能性があります。

裏を返せば、相続が発生した時は、「このまま生産緑地を半永久的に続けるか」「生産緑地を解除するか」の選択ができるタイミングです。

2021年の間に結論を

約8割の生産緑地は、2022年(平成34年)11月30日に指定が解除されます。
それまでに対応する必要がありますが、各行政機関の手続きには時間がかかるため、早めに行動を開始することをオススメします。

特定生産緑地の指定は、30年を経過すると受けられないので注意が必要です。
また、各市町村への買い取り申請を行っても、すぐに買い取りは行われず、申請後数カ月たってから「買い取りできません」と言われる可能性があります。
また、不動産業者への売却でも、短い期間で売却しようとすると買い叩かれる可能性があります。

そのため、生産緑地を今後どうするか、なるべく早い段階で結論を決めて行動に移すことが必要です。遅くとも、2021年の間にはどの選択にするか決めて、実際の申請や売却などの交渉期間として1年程度の余裕を持っておきましょう。

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